2017年6月20日火曜日

白上げて、赤上げないで、白下げない

 安倍内閣の支持率が下がったそうだ。ネットで見てみたら、以下のような各社の世論調査が報告されていた。

安倍内閣支持率
読売新聞 49 %
毎日新聞 36 %
日テレ  39.8 %
朝日新聞 41 %
共同通信 44.9 9%
日経、テレ東 49%


 おそらく電話調査の結果だろう、36%から49%の幅がある。
 毎日の36%と読売、日経・テレ東の49%の開きは13%とかなりある。ざっと見ると、朝日の41%あたりが正解に近いように思えて来るが、朝日もあまりアテになる感じがしない。40%台の上の方というあたりじゃないかなというのが、最初の感想だ。
 でも、そもそもこの調査をした時に、家にいて電話調査に応じられた人というのが条件としてある事に気がつくと、これは情報弱者とか言われている層の調査でしかないんじゃないかと思えて来る。
 つまり、新聞やテレビのワイドショーの騒ぎにさらされている人々の傾向が示されているだけかもしれない。
 そうだとしたら、あれだけ新聞テレビが大騒ぎしたにも関わらず、40%台が安倍内閣を支持しているという事が、情報弱者と言われている人々の健全さを示しているように感じられて来る。

 この安倍内閣支持率低下の報道で、新聞テレビは加計学園問題や、テロ等準備罪が理由だとしている。ふうん、それって、自分たちが騒いだから安倍内閣支持率が下がったと言いたいんだね。じゃあ、一緒に騒いだ民進党の支持率見てみよう。

政党支持率
読売
自民党 41 %
民進党 7 %
日テレ
自民党 38.5 %
民進党 11.0 %

 政党支持率はあまり変わってないそうだ。
 民進党の支持率が上がっているんだったら、加計学園問題やテロ等準備罪が理由と言える余地があるけれど、どうも、そういうんじゃないようだね。
 安倍内閣の支持率を削りはしたけれど、全体としてネガティブ・キャンペーンは失敗したと考えた方がいいんじゃないかな。

 この調査で毎日新聞社の調査が目立って支持率が低いけれど、それは、毎日が調査結果を捻じ曲げたとかそういう事ではなくて、電話調査の質問の仕方が影響しているかもしれない。米大統領選挙の世論調査の失敗で、調査方法に色々と問題点が指摘されているけれど、そういう反省を踏まえた調査が行われているようには見えない。
 調査対象はランダム(無作為)に選ぶんだけど、調査する時間帯に家にいて、調査に応じられる人という事になるわけだから、自ずと対象が限られて来る。

 新聞を読む層は、もうほとんど高齢者層、別の言い方をすれば、情報弱者と言われる層だろう。この調査は、新聞にとって見れば、読者層の傾向を反映しているという事で、いいのかもしれない。世論調査としてではなく、読者層調査というわけだ。そっちの方が企業としては価値のある情報だね。
 テレビにしても似たようなものだ。

 まだ、テロ等準備罪で意見が分かれるならわかる気がするが、加計学園が同列に並ぶとなると、違うんじゃないかと思う。新聞テレビは、問題にしているつもりなのだろうが、加計学園問題の何が問題で、どういう問題なのか、まったくわからない。騒いでいる人々の幼稚さ、無内容さしか伝わって来ないからだ。
 それでも、内閣支持率を下げたという事は、影響力を示した事になるのだろう。情報弱者への影響力は、まだあるのだ。

 でもさ、弱者はいたわるべき存在ではないのか? 情報弱者をいたわるという事は、自分たちの影響力を維持するために、オーディエンスを囲い込む事ではなくて、ネットの情報もまんべんなく伝える努力をして行く事に思える。

 違う言い方をすれば、情報の非対称性を利用して情報弱者を食い物にするのではなく、対称性を確保すべく向かい合う事が必要だし、求められているはずだ。

 今、情報弱者層の情報環境は、新聞テレビのおかげでひどく劣化している。昔なら、ネットもなく、ほとんどの層を囲いこめたが、今はそういうわけにいかなくなっているから、差が大きくなってしまったのだ。ネットに接続できている人たちが、情報強者かというと、それも違うと思うが、新聞テレビの報道を相対化出来ているという点では、はるかに優位にいる。

 新聞テレビが保持している影響力は、内閣支持率が下がった割合に見合っているのだろう。それは、こんなものだろうなと思える程度で、それほどたいしたものには感じられない。