2017年7月27日木曜日

ある日の対話:辞意を巡って

「稲田が防衛大臣辞めるってね」
「今日は辞める話が多いな」
「防衛省では、事務方トップの黒江哲郎事務次官が更迭で、陸自トップの岡部俊哉陸上幕僚長が辞任だ」
「参院閉会中審査は、いわば夏の陣だったな」
「夏の陣は、民進の敗北だったが、政権側も死屍累々だ」
「稲田は最初の頃、批判されて泣いただろ。アレでこの女ダメだと感じた」
「何の話だったっけかね、そういう場面あった」
「稲田は弁護士なんだろ、あれは馬鹿でも出来る仕事だから、そっちでやってればいい」
「日共や左翼が多いから、弁護士仲間にはイジメられるかもな」
「知るかよ、そんな事。泣けばいいだろ」
「防衛省は、なかったはずの文書があったというのはダメだったな。管理が出来ていなかったという事だ。防衛上の機密もある部署だ、文書の管理は基本中の基本なんだから、1ミリも違わず出来ていなければいけない。出来ていて当然でなければいけない。それが、破棄したはずの文書があったというんじゃ困る。破棄したはずの機密文書が持ち出されて、外国に売られるなんて事はいつでもありうるんだからな」
「実際のところ、どうだったのかはわからないが、たるんでいたとされ、処分が出るのはしかたのない成り行きだろうな」
「改憲が真剣に議論される雰囲気になりつつある時だけに、甘っちょろい事は出来ない。南スーダンの国連平和維持活動に従事したという事に我々は敬意を示すべきだし、英雄として賞賛すべきだというのは言っておきたいけどね」
「改憲か・・・安倍政権は、官邸主導という事で、官僚とも戦っている。大変な事をしていると思うよ」
「各省庁で官僚が法案作って、政治家にうんと言わせ、政治を主導して来たのが歴史だからな。その結果、行政に権力が集中して来た。その中から天下りエロ官僚も出て来るわけだが、安倍政権のやろうとしている事は、かつての廃藩置県にも匹敵する大改革だな」
「省庁が藩でお家か」
「実現するには、議員の立法能力を飛躍的に高めなければならないが、どうだろうな?」
「本来は、議員の立法能力が官僚を寄せ付けないぐらい高いのが理想なんだが」
「負けて来たのはなぜだ?」
「山県有朋あたりのせいかもな」
「明治官僚の国家意識はすごかったからね」
「選挙などいらん。国家運営は自分たちがやる。国家は自分たちだと考えていた」
「国権派はそんな感じだな。県知事なんて、官僚が天下って、殿様気分で威張り散らしていた」
「その下の世代が革新官僚で、これは毛色の変わったのもいた。このあたりになると国権派とだけは言えなくなって来る」
「大正維新を言い出した人たちだね。彼らには、明治維新を完成させるという意欲があったんだ」
「大正維新は、昭和になってから昭和維新となるんだけど、言葉が独り歩きして行ったね。それで昭和維新というと、皇道派の運動という印象になってしまった」
「ひどい奴になると、皇道派青年将校運動が戦争に結びついたみたいな言い方になる。軍隊の実権を握ったのは統制派だ。でたらめを言うなと思うよ」
「どんな考えを持っていてもいいが、事実の認識だけはきちんとしていて欲しいな。誤解や間違いの上に立って考えても、誤解や間違いが繰り返されるだけだ」
「マスコミや野党の話かい?」
「茶々を入れるなよ。真面目な話だ」
「史観などと言って、事実を観念に従属させる派閥が出て来て、何もわからなくしてしまったんだな」
「そうだね。唯物史観なんて、ちゃんちゃらおかしい。主観を打ち出すならホッブスあたりの方がよほど迫力がある」
「そんじょそこらの唯物屋がホッブスに太刀打ちできるわけはないよ」
「かわいそうだったかな」