2017年12月6日水曜日

救いがあるような、ないような

 菊池寛が
「代数は役に立たなかった。世の中で役に立つのは小学校でやった算数だけだ」
 といったと、数学者の遠山啓が書いている。実に菊池寛らしい。
 遠山は面白いと感じ、苦笑いをしながら紹介しているのだが、こちらとしては、菊池寛は本当に馬鹿だなと、ガッカリしながら頭を抱えるしかない。遠山のような温かい目で菊池寛を見るだけの高みにはいないからだ。
 遠山よりは菊池寛にはるかに近い、低~いところにいるから余裕がないという事も大きい。
 という事で、実は自分にガッカリしているわけだが、今さらとりもどせるものでもない。それでも、
「世の中で役に立つのは小学校でやった算数だけだ」
 などとは言うまいと思う。
 そんな事を言う人は、代数などロクにやっていないに違いないし、算数だって、本当は怪しいものだからだ。
 数学をけなしても、自分が勉強をしなかった言い訳にはならない。勉強すべき時に勉強しなかったのは、怠惰だったからだと、いやでも認めるしかない。
 それで、自分の怠惰さを戒めるのが正しい道で、開き直って、怠惰を邁進するのは間違った道なのだが、ゆるく戒めて、時々、少し開き直る凡夫の道もない事はない。
 で、たいていは凡夫の道を歩むのかもしれない。