2019年9月5日木曜日

全体主義専制政治よりも民主主義の方が遅い

香港政府が逃亡犯条約改正案の正式撤回を発表した。この法案は香港の騒動のきっかけだった。中国の支配を嫌う香港において、逃亡犯条約改正案は、中国政府の全体主義統制のはじまりと見なされていた。
この撤回は、中国にしては珍しく、政府が退いた形だが、しかし、民主派は「遅すぎる」と反発しているらしい。

やはり、共産党の専制政治をやっている中国では民主主義が浸透していないのかもしれない。
専制独裁の全体主義政治でなければ、つまり、民主主義だったら、法案の撤回はもっともっと遅いはずだ。だから、民主派は「遅い」などと批判すべきではないんだが・・・遅いから悪いってわけじゃないんだし・・・

なぜ香港が逃亡犯条約改正に激しく反対するのかというと、現在の条約の内容だと、政治犯が中国本土から香港に逃げこめれば、引き渡されないですむからだが、条約が改正されると香港が中国本土と同じになって、政治犯も自動的に引き渡されてしまうからだ。
これまででも、香港の書店主が行方不明になり、しばらくして中国本土にいる事がわかり、妻が面会に行ったら、別人のように変わっていたなんて事も起きている。
条約が改正されたら、香港の人間は、中国共産党政府によって自由が大きく制限されてしまうというわけだ。

民主主義の政府だったら、こういう場合、説明会とか色々と説得や交渉をして落としどころを探すんだけど、共産主義=全体主義の場合、情勢によっては反対派粛清もありえるし、今回のように撤回=懐柔という事もある。後が怖いけどね。

香港の人たちは、自分たちが中国人だという意識をあまり持っていないらしい。中国本土の人たちも、香港人は別だと感じているようだ。で、中国はもう、そういう香港を必要としていないんだと思う。
中国は、チベットなどに侵略した後、中国人を大量に植民させ、強引に中国化して来た。香港でも同じことをしようとしている。
香港を特別あつかいして来たけれど、もう普通の中国にすると決めたのだろう。

香港として出来る事は、中国の民主化になんか本当は関心などないんだろうから、香港の中国からの独立を目指すのが一番なのだが、そういう政治勢力を作ったら、それこそ皆殺しにされる・・・

まあ、このままだと中国政府が、ちょっとだけ時間をかけて香港を中国化する。軍事都市にでもなるかもね。

香港が、生死をかけて香港の自由と独立を守る事はないだろうから、中国政府が勝つ確率が圧倒的に高い。
でも、もし、香港で独立を志向する政治勢力が生まれ、台湾なりと連携し、それをアメリカが支援したら話は違って来るが、まあ、このままだとそれもなさそうだ。