2017年8月13日日曜日

2つの情報工作と日本

 太平洋戦争、大東亜戦争について、いくつかの見解がある。
 まずこの中から、ソ連=朝鮮総連/日本共産党系の見解は省こう。なぜなら、スターリンがアメリカ共産党を使って、日本を追い込む形で日米戦争を仕組んだ経緯があり、なおかつ、それを隠して戦前の日本を批難し続けるという、謀略があったからだ。日共系の見解は謀略の一部でしかなく、真摯な見解とみなすにはあまりに資格を欠いている。
 ソ連=朝鮮総連/日共系の見解は党派的謀略的な工作のための見解であり、それを検討する事で謀略に巻き込まれるたぐいのものとして、その内容は検討すべきものではない。この「総連/日共」工作とでも言うべきものは、謀略としてなら検討素材としえるかもしれないが、内容を真に受けるのは無意味だ。

 では、「総連/日共」工作以外はどうだろうか? 戦後、連合軍として日本を占領したのは実質的には米軍だった。米軍は戦後、左翼系インテリたちがやっていた「真相」という雑誌に当時入手困難だった紙を供給するなどして支援した。これと「真相はかうだ」「真相箱」などのNHK放送とも軌を一にした宣撫工作ととらえられるだろう。ここではこれらを「真相」工作としてまとめてとらえる事とする。
 この「真相」工作も宣撫工作のための情報操作にすぎないから、これ以上の検討には値しない。

 これらの工作は、日本の否定を目的とした宣伝であり、言説だった。思想としてとらえるほどの内容はなかった。
 しかし、この無内容な工作と占領統制から日本の言論・思考空間の戦後は始まった。
 占領統制は、日本の言論に大きなキズを残した。占領政策に沿わないとみなされた言説が禁止された時期があったが、それが日本の言論機関を萎縮させ、占領が終わった後も、統制に適応した言論空間は残った。この枠組に適応した言説は主流となってもてはやされ、外れた言説はかえりみられなかった。一度定着した枠組みは定着を根拠として生き延びて行く。その枠組に適応した言説も、内容とは関係なく主流商品となり続ける。
 現在の日本の言論の妙な傾向はこのようにして形作られたように見える。
 そこでは、日本を悪とし、日本の戦争を悪とし、日本の戦前を悪とする事が正しい解答であり続けている。もし、日本が悪で、戦前が悪なのだったら、どうして戦後の日本が悪ではないのかといった疑問は、極めて偏った形で現れ、用意される解答も偏ったものだ。
 戦後日本が悪いのは、共産化されていない事だ。自民党が勢力を持ち、日本共産党をはじめ、進歩派野党の勢力が少ないのは、日本が進歩的ではないからだ。これは良くない。良くないのは、日本に戦前が残っているからだ。戦前がなくなれば、日本は共産化し、良くなる・・・これが「総連/日共」工作の用意した解答だ。
 アメリカは、日本の独立と同時に、日本=悪という宣伝工作を終了している。もう日本は悪などではない。だが、「真相」工作の終了は、「総連/日共」工作が単独で継続される事を意味した。それは、「総連/日共」工作による言論統制、歪んだ言論空間の枠組みを維持する努力だった。歪んでいない言論空間においては、「総連/日共」工作の言説など、バカバカしくて相手にもされない代物だったからだ。
「総連/日共」工作は、終戦直後の時代環境でだけ生きて行ける。「真相」工作の寄生虫だった事がわかる。