2019年6月3日月曜日

アンテルマンのイルミナティ本の事

随分前にマービン・アンテルマンというアメリカ在住のラビの本を訳した事がある。読書会をやるのでお前訳せと言われてやった。本を一冊訳したのはあれが初めてで、その前に、ロレッタ・ナポリオニの「テロ・インク」の第一部を訳した事があるだけだった。

ナポリオニを訳したのは、単純に読みたかったからで、いい読書だった。イタリアの赤い旅団、パレスチナのPFLPといった有名どころをはじめ、南米も含めた各地のテロ集団の悪辣な活動をよく調べていた。あれですっかりナポリオニのファンになり、彼女の作品は読み続けている。

アンテルマンの方は、70年代に書かれたイルミナティ本で、ざっくり言うと共産主義はイルミナティで、その他、様々な所に様々な形で浸透しているイルミナティが世界を破壊しようと画策しているという内容だ。

まあ、クレージーなんだけど、妙なところで調査がきちんとしていて面白かった。ユダヤ人の歴史に興味を持つきっかけになった。アンテルマンを読んでいなかったら、アミール・アクゼルの"The mystery of the aleph"(邦題『「無限」に魅入られた天才数学者たち』)のカバラの下りは理解しにくかっただろうと思う。

イルミナティの陰謀がどうのという話は眉唾だと思うから、陰謀論とは別に、ユダヤ人のアンテルマンが、ユダヤ人に対して辛辣な言葉を投げつけ続ける凄さに興味を持った。

不勉強だから、ポール・ジョンソンの『ユダヤ人の歴史』は読んだけど、後は、デビット・ローゼンバウムの『ツァディック』が面白かったとか、その程度だから、自分でもかなり薄いと思う。でも、今後厚くなるかどうかはまったくわからない。