2018年3月12日月曜日

安全のために、安心してはいけないね

 アメリカは、北朝鮮から核が除去されればいいだけだ。それ以上踏み込むのは、コストに見合わないのだろう。核の除去だけで、当面の国益には十分なのだ。
 だが、万が一、北朝鮮から核が除去されたとしても、日本はそれですっかり安全になるわけではない。核が除去された分マシになるだけだ。万が一ね。
 日本人を拉致し、大量のスパイを日本に潜入させ、漁船を使って密漁、領海侵犯を繰り返す、無法な軍事国家は存続する。

 かつて、ソ連の崩壊後、テロリストがソ連軍の保持していた核兵器を入手する可能性が問題とされた事があった。
 北朝鮮は小さなテロ集団ではなく、国家だ。これがテロ犯罪者でもある。金正恩の父親、金正日はミャンマーで爆弾事件を起こしている。大韓航空機爆破テロ事件もあった。日本人、韓国人の拉致も誘拐テロだ。
 テロ国家北朝鮮が核爆弾を持った。そして、アメリカ本土を狙える核ミサイルを持とうとしている。
 アメリカにとって、これは大きな危機の芽であり、摘み取らねばならないものだろう。だが、アメリカの危機と日本の危機とは自ずと違いがある。
 北朝鮮が危機の元凶である点は一致している。大枠では、ここで互いの国益が一致し、共同歩調をとっている。
 しかし、核兵器やミサイルがなくても、北朝鮮というテロ国家は、隣にあるテロ国家として、日本にとっては大きな危険要因だ。

 原発や築地市場移転では、安全であるにもかかわらず、その安全を広報、周知すべき諸機関が、安全であるものを「安心ではない」と言って否定しようとした事があった。今も、やっている馬鹿どももいる。
 それが、今度は、万が一、アメリカの当面の国益の線に沿った妥協点として、北朝鮮が核ミサイル開発を断念し、核を放棄したとしたら、そこで「安心」感が醸成されるかもしれない。でも、北朝鮮が核を放棄しても、日本は「安心」できるほど安全ではない。

 米朝会談がどうなるかわからないけれど、どうなったとしても、日本の安全が確保されないのは確かな事だ。
 もしかしたら、「安心」を宣伝する者が出るかもしれない。正真正銘の馬鹿か、北朝鮮の手先だと見て間違いはないだろう。