久しぶりに Kaki King が聞きたくなり、スポティファイで探したら、聞いたことのない「Live at Berklee」 があったので聞いてみた。
凄く良かった。才能のある人だとは思っていたけれど、どんな事をやろうとしているのか、うまく把握できないでいたのだけれど、ああ、これかと、明確になった。
演奏の技量は並々ならないものがあったけれど、鋭利になり、緊張と集中にも素晴らしいものがある。
音のイメージのつかまえ方、演奏への落とし込み方、演奏のどれをとっても妥協がない。お高くとまっているのではなくて、その純粋さゆえに、一切の通俗性から見事に無縁な音楽を作っている。
了解のしやすさは通俗性を導入すると簡単に手に入るのだが、明確さだけを了解の手がかりにする事に成功している。
お高くとまってはいるが、実際は通俗性を大量に密輸して成り立っている、「現代」やら「前衛」やらとはまったく別ものと言っていい。そのテの「現代」やら「前衛」やらは、第一次大戦の後あたりからこっち、同じ事をやってるだけだ。取り柄と言えば、間抜けな連中がありがたがりやすいような型があるという所だけだろう。ただし、この型は空手の型と違って、役に立つ事はない。
もう、新しい音楽はほとんど聞かないんだけど、キングの音楽なら心からいいと思える。