2021年7月31日土曜日

カーネマンはコロナ禍をどう過ごしているだろうか?

日本の人口を、だいたいのところで 1億2536万人 ぐらいだ。コロナの累積感染者数は、2021年7月30日現在で 91万4776人だ。1億2444万人以上が感染していない。人口に占めるコロナ感染者の割合は 0.73%ぐらいになる。

これはこの1年半少々コロナ感染を防ぐために国を挙げて努力して来た成果なのだが、99%以上の人が感染していないという事が、今、対策の足かせになりつつあるかもしれない。99%以上の人にとってコロナに感染しなかったという事実が経験則となって、意思決定に影響を及ぼしている可能性がある。この経験則による意思決定をヒューリスティックと呼ぶが、この意思決定が合理的とは限らない。たいていは間に合うから使っているのだけれど、正しくない場合も多い。特にこのコロナ禍における行動の意思決定としては間違っていると言っていい。

それでも、99%の中の何割かの人が昨日まで平気だったからという経験則によって、それ以外の根拠などまったくないのに、今日も明日も大丈夫だろうと判断する。しかも、コロナ禍の経験は誰でも同じ、たった1年半ちょっとでしかない。その上、コロナは途中でデルタ株に変わり、感染率が高まっている。つまり、去年の経験則は役に立たない。しかし、多くの人がそれに頼って意思決定をし、外出し、人と会っている。ヒューリスティックは心地よく、酒も飲めるし、楽しく集まって騒げるからだ。

そして、そんな事をしてても、大丈夫な人の方が圧倒的に多いだろう。でも、1%は125万人だ。1年半ちょっとで0.73%の感染でこんなに辛かった。一気に1%の感染者が発生したら、医療は崩壊するだろうし、私たちは耐えられないだろう。


人は不合理な生き物であり、経験則で意思決定する事から逃れられない。

私たちは、自分が不合理だと自覚するよう努めながら、平時ではないコロナ禍を過ごすようにしたい。