2020年7月28日火曜日

弘田三枝子の冥福を祈る

弘田三枝子が死んだ。
死因は心不全だった。年齢はいい。
スケールの大きい凄い歌手で、ジャズ・パフォーマンスなんか最高だった。

でも、不倫相手の女房に刺される事件があって、しばらく名前を聞く事はなかった。不倫の相手はバックバンドのメンバーだったからジャズマン。バンドマンがふしだらなのはあたりまえなのに、バンドマンのカカァが浮気相手を恨んでどうするという事件だった。だが、よっぽど恨まれたんだろう。ひどい傷を負わされたようだった。

忘れた頃にテレビに出たのを一度だけ観た。照明を避け、顔を隠していた。歌もかすれた声で歌っていた。「ジャングル大帝」を歌っていた頃とはまったく違っていた。

あのさ、男も女も大したもんじゃないんだよ。殺したり、傷つけたりするほどのものじゃない。冷静に考えればわかるだろうに、激情にかられておかしくなっちゃうんだろうな。脱原発と一緒だ。

弘田三枝子は、事件とは関係なく、ずっと聞いていた。若い頃に歌ってたポップスが好きだったからだ。「人形の家」はそんなに好きじゃなかったけど、そのちょっと後だと思うけど歌った「バラの革命」は、後々、弘田三枝子がドラァグに好かれる理由になったんじゃないかと思う。

進駐軍の基地回りしていた歌手がどんどんいなくなって行く。ナベプロも、ウドーも、ジャニーズ事務所も、進駐軍回りの仕込みから始まった。でも、もう段々と何もわからなくなる。

美空ひばりがいて、江利チエミがいて、雪村いずみがいて、その後に、中尾ミエ、伊東ゆかり、園まりを横目に見て、弘田三枝子がいた。思えば凄い時代だった。

弘田三枝子の死は、悲しい。


弘田三枝子の冥福を祈ります。