2020年7月11日土曜日

共産主義の掲げた理想は、すべて資本主義が実現し、さらにその上を行った。共産主義はすでに無用だ

政治権力が理想を実現するものではなく、利害の調整をするためにあるという見方に立てば、米中はそれぞれ大きな利害の調整を行っている最中だという事になる。

両者は深くつながりあう事で、それぞれに利益を得て来た。とりわけ中国にもたらされた利益は莫大で、中国を世界第二位の大国に押し上げた。
米国は、中国を工場とする事で人件費を大幅にカットし、企業はその分の利益を資本家にもたらした。これは米国内の雇用を中国に移す事で生み出された利益だが、これが格差の原因だった。中国と結びつく事で格差が生み出され、深化する。世界各国が中国と結びついたのだから、格差は世界中で生じる事となった。

中国を工場とする形で、世界が中国を仲間に入れる流れは「グローバリズム」と呼ばれたが、グローバリズムによって中国は大国となり、世界の格差は深刻化した。
世界の企業は、中国政府が、いわばスト破りをしてくれるから、効率よく、最初から国内での生産を中国に移していたという事になるかもしれない。

では、中国ではどうなのかと思うと、中国の格差も深刻化した。
グローバリズムを推進したのはアメリカだが、民主党に限らず共和党も、中国政府の人権無視、人権侵害に目をつぶり続けた。これは中国で儲けた米企業のせいかもしれないが、とにかく中国政府、つまり、中国共産党は勝手放題をして来た。

中国の企業は中国共産党の幹部、共産党の軍隊である中国紅軍の幹部、そして、彼らの子弟が政治とともに経済を牛耳り、資産を形成している。
グローバリズムで大金持ちになるのはこの層であって、すべてが出来レースと言っていい。中国企業は中国共産党の一部と言っていい。だから、中国企業が国民のデータを国に手渡したり、国外で情報活動を行っているのは、彼らにしてみれば当然だ。
こうした中国企業が、低賃金重労働で中国人を使役し、また、回族やチベット人には奴隷労働を強いて来た。
中国共産党は中国を使った利権集団であり、国家の機能をフルに使って暴利をむさぼっている。全体主義統制国家を、強欲な利権屋が運営しているわけだ。

だが、アメリカが中国が土台として来たグローバリズムを転換する。
EUも基本的には歩調を合わせるだろうから、中国も変わらなければならなくなる。

そうして、中国共産党は一国二制度を停止した。国際的な約束を破る挙に出たわけだ。
香港は金融の中心のひとつだが、今後は透明性を維持できないだろうから、その地位から降りざるを得ないだろう。
これは中国経済にとって大きな打撃になるかもしれないが、そこを敢えて強行したのは、アメリカ企業、アメリカ資本が香港を利用しているからだと思われる。アメリカの経済にとっても打撃になるのではないか。これは、そういう攻撃的な行為と考えていいかもしれない。

アメリカも中国も、そして、当然、世界中の国がこの転換、グローバリズムからコロナ後と言っていいかもしれない転換には時間がかかる。様々に取り交わされた無数の契約から始まって、気の遠くなるような関係が切り離され、そこで生じる空白を埋めなければならない。
中国は各国への浸透を露わにしても、転換の足を引っ張り、時間を稼ごうとするだろう。
アメリカは中国の行動を睨みつつ、国内の転換を図っていかねばならないだろう。大変な事だが、この苦しみを乗り越えねば未来はない。

中国共産党のやって来た事は、寄生虫というか、シロアリというか、害虫が世界を食い荒らすのと変わらない。そのレベルの事だ。いくら金を持っても、中国共産党の利益になっただけで、国民は本来手にすべき豊かさなど手にしていない。さらに自由など、どこを探しても見つからない。今の中国なら、清国の方がはるかに上だっただろう。中国共産党は、いまだに古代中国の不出来な再現をやっているだけだ。

アメリカも、そして、私たちもコロナ後の転換を乗り越えて行く。それを勝利と呼ぶならば、私たちは勝利する。