2017年7月2日日曜日

やっぱ、ブルースはいいよな

 映画で思い出した。

 ブルースの名作に「モジョ・ワーキング」という曲がある。マディー・ウォーターズでよく知られている曲だ。
 何かのライブで、その時にベースを弾いていたMG’sのドナルド・ダック・ダンが熱演のあまりブレイクする所を止まりきれず、おっとっとと残ってしまった。マディがおやおやという感じで間をとって、エンディングに持っていくのだが、その感じが良くて、好きになった曲だ。マディーも何回も録音している。

 モジョ・ワーキングというのは、ブードゥーの魔術で、呪力とか、もっとせまく、異性を思い通りにする力の事だ。アメリカのドラマのセリフで、時々この言葉を使っている。たいてい、妙な言い換えになっているか、訳されていないのは、訳しにくい言葉だからだ。
 歌の主人公はこのモジョ・ワーキングを身につけた。でも、好きな彼女には全然効果がない。彼女との恋愛関係はどうにもならない。
 そんなコミカルで切ない場面が最初に歌われる。それからモジョ・ワーキングを手に入れる過去に話が戻る。
 ルイジアナのスワンプ地帯に行く。あのあたりはブードゥーのメッカだ。そして、どんな女でも命令に従わせる事が出来る力を得る。
 でも、彼女には効かない。
 また、話がさかのぼる。
 ジプシー女がアドバイスをしてくれて、色々な技を会得する。
 でも、彼女には効かない。

 そういう歌で、時間を行ったり来たりする構成がコミカルで、でも、せっかく魔力を身に着けたのに彼女には通用しないのが切なくて、大げさな駄法螺話が楽しいし、実によく出来た曲だ。
 この歌の作りが、コメディー映画にあるタイプなので思い出したわけだ。

 ジョニー・ウインターが死ぬ直前に録音した「ステップ・バック」の1つ前の作品「ルーツ」でこの曲をやっている。いい演奏だ。